キフシャム

まだ大阪の感想を別エントリで書いている途中(下書き)なんだけど、先に先日23日に見た、みんな見ろキフシャム国の冒険についての感想を書く!ネタバレしつつ書いていいというのがツイッターではひとつ間もおけないし、何よりネタバレはいらないと思う。ただイケメンがみたくてーくらいのウスラぼんやりした頭で見にいくなら、少し引っかかるキーワードを得てから見るほうが深みが増すのではないかと思う。何よりとにかく平日チケが余っている状況で空席があるのは本当にもったない、そんな舞台なので、ぜひフラッと見にいってほしい。
ここからはネタバレの話で私が感じた部分と私が思った考察だけを述べていく。それぞれが感じたことが正解でありどれが正しいとかはないと思う。ヒーローものような明確で爽快でもないけど、筋はわかりやすい。そして多分その筋の枝葉をどうしても見てしまう、そこの意図を汲むことが醍醐味だと思う。
舞台としての感想は2時間集中してみることができた。正直私は言いたいことだけわめくようなストレートプレイが苦手でしかも題材が題材なのでファンタジーとはいえ、というわりと腰が引けていたのも事実だったが、実際は驚くほど何かの伏線では?と思うところと何度かのその伏線の回収が続くことによって、アハ体験が続くような感覚でわくわくしてみることができた。後半の怒涛の回収のすさまじさにはやや着いていけなくて、6割くらいしか飲み込めなかったのでは…と正直思ったのも事実。批判するところがあるならそこかもしれないww
そして宮田がいるから知っていった舞台だったけど、正直宮田、とかはどうでもよいほどに役になってたから。役もひとつではないので舞台に溶けていたとでもいうか、何も話を進めるのに支障がなくて、宮田がどうとかいうことは側転を見るまで忘れてたほどw

アナグラムの記すところもあるけど、そういったこと抜きにもこれは311の震災があってからの設定からはじまるので、311の影を要所に感じる。私はその実際の現実とあの現実なのかという世界とそして誰にでもある悲しみの置き場と人の置き場を覗いたときの世界がとにかくエグくなく書かれていることが一番感銘を受けた部分なので、私はそこについて感想を書いていきたいと思う。

現実→キフシャム→現実なのだけど、正直キフシャムの後半になるまで現実がなんであったかとか忘れていて、怒涛の後半でそれらと急に向き合うことになるんだけど、この少ない時間でも人はどこかにいけるし、現実にだって帰ってくることができる勢いと絶妙さ。多分これが311の影を題材にしてなかったら、どうにも空想だけのお話に目が覚めるタイプの私はそこまでは入っていけなかったかもしれない。知ったリアルがある、それだけで見たことのない初めて見る舞台なのに既視感がある、すごく不思議な感じだった。

私が特にワクワクして見たのは冥界からの部分だった。「嘘をついてはいけない」それがどんどん絡んできてそして誰もがついてはいけないような嘘ではない、でも嘘はとても重く現実をあぶりだすこの展開からがドワー!っと見れたのだけど、ケルベロスあたりでボヤーっと(いい意味で)したので前半の伏線がこれなのでは?!ってところが思い出せなくてだなwwww

どんどん向き合いたくないことが出てくる、しまいには向き合いたくないことが追いかけてくる、そしてそれは全てを忘れる川の水が攻めてくる、その中で何度も教訓のように言われる「振り返ってはいけない」、津波を彷彿させるその世界から忘れてしまえるのは一体なんなのか、何も「忘れることはできない」それと向きあうのは…

この最後の現世に戻るのだが実にそこはあっさりで現実がいかに寝ておきたら日が昇ってくるかのようにやってくる勢いで、またキフシャム国の平和はきたぞー!みたいなはっきりとしたハッピーは描かれてなくて、これからである出発点がようやくきたというだけなのである。でも多分それは暗黒の見えない敵と戦う=放射線なのだろうし。生きているものだけにくる現実と、ナオミが最後に見る杏の花は死んだ王子の母アプリコットの精の生まれ変わりであり生まれ変わったこととナオミが現実を受け入れたこととのリンクを象徴して終わる最後だけ分かりやすい伏線!!!でスッキリ!!!!w

中盤のよろしくない要素の塊みたいな王がかなり肝だと思うんだけど、注目しきれなかったし、キノコのやつだけ待ってて、きつねは無駄死にしてるしで、沼系の比例も把握しきれなかった…!けど含んでる何か含んでるぞおおおおおおおお!!!っていうのだけは分かるので、見た人同士で色々照合したくなる、多弁になる舞台だと思う。話が転がるのに夢中で演技がどうのっていう細かいとこまでいかなかったんだけど、そういうところまで見られるようになるとまたグッと広がると思う。スルメ舞台だなと思うけどアドリブでスルメではない、設定で投げてきた!というのが見れさえすればピースを集められるので、見て欲しいですね。まだ買えるというのは本当にラッキーだと思うのでぜひ。